体と水の働き

「人は、食事をしなくても2~3週間は生きていけるけど、水を一滴も飲まないと数日で死んでしまう」なんて話を聞いたことがありますか?
水はわたしたちの体の中で最も多い物質で、生命の維持に欠かせないものです。
今日は、わたしたちに欠かすことができない水について、その働きと上手なとり方についてお話したいと思います。

人の体と水の働き

私たちの体には、多くの水分が含まれています。産まれたばかりの赤ちゃんで約80%、成人で約60%、高齢になると約55%と年齢を重ねるにつれ減少していきます。
その役割は下記などの働きがあり、体に含まれる水分は、全身をまわります。

① 酸素や栄養の運搬

飲み水などで摂った水分は腸から吸収されて、血液などの体液となり酸素や栄養分を運搬します。不要な老廃物は、尿として排出されます。

② 体温の調節

熱い日には汗を出して体温を調節します。

③ 環境の維持

人の体には、内部や外部の環境因子の変化に関わらず一定の状態に保つという性質があります。この状態を「恒常性」といいますが、水分は恒常性を保つことに役立ちます。

水はどれくらいとればいいの?

1日に必要なエネルギーや栄養素については、食事摂取基準とよばれる指標によりその摂取量が定められているのですが、実は水に関しての基準値は設定されていません。

ただ、先ほどにもお話したように、水は体にとって重要な働きをするため、必要な量をしっかりとる必要があります。

「1日で体から排出される水」は汗や尿などの他にも、不感蒸泄(皮膚や呼吸をして水分が失われること)などがあり、合計すると通常の生活では2.5ℓ程度といわれています。

一般的な食事に含まれる水分量は1ℓ程度、また食べ物を分解してエネルギーを得る際に作られる代謝水が0.3ℓ程度と言われているため、残りの1.2ℓが飲み物としてとるべき水分量となります。

水分の排出量と摂取量のバランスが崩れ、排出量>摂取量となったときに水分不足を起こして脱水症状や熱中症を起こす危険があります。逆に一度に大量の水を過剰摂取した場合は、排出量<摂取量となり、内臓に負担がかかり水中毒と呼ばれる症状が起こることがあります。

大切なことは、水の排出量と摂取量のバランスを摂ることですので、一概に何ℓ摂ればOKという答えにはなりませんが、水分摂取は1日1ℓ以上を目安に、たくさん汗をかいたときや、発熱があるとき、下痢や嘔吐があるときは多めにとる必要があります。また、体が大きい人(体重が重い人)は体が小さい人(体重が軽い人)より多くの水分が必要になりますので参考にしてください。

排出量(2.4~2.5ℓ)

不感蒸泄(0.9ℓ)
尿や便として排出(1.3ℓ)
汗(環境によって変化)

摂取量

代謝水(0.3ℓ)
食事に含まれる水分(1ℓ)
飲水(排出量-代謝水-食事水)

危険な熱中症

夏になって気温が高くなると心配なのが熱中症です。

熱中症は、気温が高い環境にいることで体温を調節する機能が狂ったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れて起こる体の不調のことを言います。

熱中症と言えば、炎天下に長時間いたり、暑い中激しい運動をしていたりすると起こるイメージがあるかもしれません。しかし、必ずしもそれだけではなく、気温と湿度が高い室内や、直射日光が当たっていなくても風が弱く照り返しが強い場所では起こることもあるんです。

熱中症には、Ⅰ度~Ⅲ度の分類があり、Ⅲ度(重度)の熱中症は命の危険を伴うことがあるため、救急搬送を必要とする場合があります。

目安として、以下の表を参考にしてください。

分類:Ⅰ度(軽度)
症状

めまい・たちくらみ・失神
脳への血流が瞬間的に不十分になったことを示す。運動をやめた直後に起こることが多い。脈が速くて弱くなり、顔面蒼白、呼吸回数の増加、唇のしびれなどもみられる。

こむらがえり(筋肉痛・筋肉の硬直)
発汗を伴う塩分(ナトリウム)の欠乏により生じる。※全身の痙攣はこの段階では見られない。

対策 応急処置と見守り
分類:Ⅱ度(中等度)
症状

頭痛・吐き気・嘔吐・下痢・倦怠感・虚脱感・失神・気分の不快・判断力や集中力の低下等

対策 医療機関へ
分類:Ⅲ度(重度)
症状

意識障害・痙攣・過呼吸・おかしな言動や行動・ショック症状
※Ⅱ度の症状に重なり合って起こる
高体温
肝機能異常・腎機能障害・血液凝固障害

対策 入院加療

Ⅰ度(軽度)~Ⅱ度(中度)の場合でも、応急処置が必要ですので、熱中症を甘く見ずにしっかりと対応できるようにしましょう。

熱中症が疑われる時の対応

① 涼しい場所への避難

風通しのよい日陰や、クーラーが効いている室内に移動します。

② 衣類をゆるめ、体を冷やす

衣類を脱がせ体から熱の放散を促します。
濡らしたタオルやハンカチをあて、うちわや扇風機で風を送り冷やします。
※体を冷やす際のポイントは、「3点クーリング」です。首(前頸部)・わきの下・太ももの付け根(鼠径部)といった太い血管が通る部分を冷やすことにより、体全体を冷やすことができます。

③ 水分&塩分補給

冷たい水を持たせて自分で飲むように促します。
大量の発汗があった場合は、同時に汗で失われた塩分も補給できる経口補水液が最適です。

自力で水分補給が行えない場合は、点滴での水分補給が必要ですので救急搬送対象となります。①②③の応急処置を行って、症状の改善が見られない場合も救急搬送対象となります。

時には命の危険にもなる熱中症ですが、毎日の生活の中で予防することができます。

熱中症の予防対策

① 暑さを避けましょう

  • エアコンを利用する等、部屋の温度管理をしましょう。

  • 涼しい服装、日傘や帽子は忘れずに

② 適宜マスクを外しましょう

  • 屋外で人と2m以上(十分な距離)が離れているとき

  • マスク使用時は、激しい運動は避けましょう

③ のどが渇いていなくてもこまめに水分補給しましょう

  • のどの渇きを感じる前に水分摂取をすることが重要です。一度に大量に摂取する必要はありませんので、1時間ごとにコップ1杯目安に意識して水分補給をしましょう。

  • 大量の汗をかいたときは、塩分補給も忘れずに

④ 日頃から健康管理をしましょう

  • 睡眠不足は体の体温調節の機能が悪くなります

  • 食事をしっかり摂りましょう

⑤ 暑さに備えた体作りをしましょう

  • 暑くなりはじめたときは熱中症になりやすくなっていますので、体を慣らしていきましょう

厚生労働省 令和2年度熱中症予防行動より

塩分補給の注意点

熱中症の対策について、「塩分補給」が必要であるとお話しましたが、ここで気をつけていただきたいのが、塩分補給が必要となる場合は、あくまで「大量の発汗があった場合」です。「大量の発汗」の目安としては、「1時間以上の激しい運動(労働)」または、「発汗量が体重の2%を超えるような場合」が目安となります。

夏場はスーパーやコンビニでも塩飴や塩分タブレットなどの塩分補給用の商品が並んでいますが、あまり汗をかいていないのにも関わらず塩分補給用の商品を摂ると、塩分の過剰摂取になる場合があります。日本人の食生活は平均して塩分摂取量が高いことが懸念されているため、特に、高血圧や心臓病などで塩分制限を指導されている方は、注意が必要です。

また、ドラッグストアなどで売られている、熱中症対策飲料の経口補水液を水分補給用の普段の水分摂取として水代わりに飲んでいる人も要注意です。熱中症対策の表示は、厚生労働省のガイドラインで示されており、ナトリウム濃度として飲料100mlあたり40~80mg(食塩相当量で0.1~0.2g)を含んでいます。つまり、500mlのペットボトルには1g以上の塩分が含まれていることとなり、汗をあまりかいていない通常の生活で摂取してしまうと塩分の過剰摂取につながってしまうのです。

ちなみに経口補水液の説明には、脱水症状のための食事療法(経口補水療法)に用いる経口補水液であり、脱水症状でない方が普段の水分補給として引用するものではないことが商品に記載がありますので確認してみてください。

大量の汗をかいた時でない場合は、水やお茶などの水分補給で十分ですので、塩分補給用の塩飴や塩分タブレット・経口補水液などの商品は、適切なタイミングで効果的に使用するようにしましょう。

食事と熱中症

わたしたちが簡単にできる熱中症予防対策は、「食事を抜かない」ことです。
忙しくて朝食を食べない人や、夏バテで食事を抜いた人は、エネルギーが不足するだけでなく、汗で流れ出るナトリウム(塩分)などのミネラルや、水分の補給の機会も失うことになるのです。
そんな人におすすめなのが、「具沢山の味噌汁」です。
食事に汁物をつけることによって、水分量がアップしますし、味噌には塩分(ナトリウム)やカリウムなどのミネラルが豊富に含まれます。具沢山にすることにより、野菜のビタミンや肉や豆腐のタンパク質を補うこともできます。食事を抜きがちな人は、「おにぎり+具沢山味噌汁」を試してみてください。

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